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■炭のできるまで

 


これは、紀州で使われている窯です。


 

■備長炭のできるまで

 炭というと、「木を焼いたもの」と思われるかもしれませんが、ちょっと違います。たき火やキャンプファイヤーの時のように、原木に直接火を着けると、木は燃えて、ただの灰になってしまうのです。ですから正確には、「木を蒸し焼きにしたもの」なのです。では木の蒸し焼きとはどうゆうものかをじっくりご説明したいと思います。
 そこで、紀州備長炭のできるまでをご紹介します。

■原木の伐採と木づくり

伐採する木は、20年〜30年生のウバメガシ。
伐採されたウバメガシは、乾燥しないうちに、「木づくり」の作業に入ります。

・「木づくり」とは
曲がりくねった原木をまっすぐにする作業。 のこぎりなどで原木に切れ目を入れ、「こみ」と呼ばれる木片のくさびをこめて、まっすぐになる様にする。その他、直径7〜8cm以上のものは真っ二つにし、さらに太いものは四分割にする作業をし、太さや長さ(2mにする)を揃える。
この作業は、窯の中に原木を隙間なく詰めるためです。隙間なくしかも太さを揃えて詰めるのは、備長炭の品質を保つためには大変重要で、焼きムラを無くすためで、さらには焼きあがった炭がまっすぐになるからです。

こうして「木づくり」のできた原木は、数本づつに束ねられます。紀州の備長炭の窯が「立てくべ式」の窯のため、1本、1本窯に詰めるのは効率が悪いからです。

 

 

 

 

■窯詰め

いよいよ木づくりされた木を、窯に詰めますが、窯詰めは窯出しがすんだ直後の、窯が熱いうちに行います。つまり、焼きあがった炭を取り出したばかりの窯ということです。それは窯の中で原木が良く乾燥し炭化がうまくすすみ、品質の良い炭が焼けるからです。窯の中は熱くて入れないため、「ころばし」と「立て又」という道具を使って、釜の外から作業をします。
原木は立てたまま詰めて行くのです。今の段階では、窯の口は縦長で、人がこごんで入れる位の高さがあります。

■口焚き・乾燥、そして炭化

 窯詰めを終えると窯口の上半分をを煉り土と石でふさぎます。口のあいている下部に雑木をくべ火をつけ、勢いよく燃やします。なぜ勢いよくかというと、これは中の原木に火をつけるためではなく、逆に火が弱いと、原木に火が着いて燃えてしまっては、炭にならないからです。
 これを「口焚き(くちだき)」といいます。
これは原木を乾燥させるのが目的です。生木を窯の中でじっくり乾燥させることが良い炭を焼く条件なのです。だったら、窯に入れる前に良く乾燥させればいいのでは?と思うかもしれませんが、よく乾燥した原木は火が着きやすくなり燃えやすくなってしまうため、炭にはなりません。窯口で火をたいて、窯の中を熱くすることにより、原木から水分をじっくり蒸発させていきます。

 口焚きをはじめてから3日もすると、真っ白な煙のようなものが勢いよく出はじめ、甘酸っぱい香りが鼻をつくようになります。原木に含まれた水が水蒸気となって吹出してくるのです。窯の中の原木が充分乾燥したかどうかは、炭焼き師の長年の経験で、煙の色と匂いで判断します。 乾燥が終ると原木に火がついて、「炭化」の始まりとなります。

 とはいっても、原木に火がつくと言う表現は正確ではありません。「メアナ」と呼ばれる穴を数個だけ残し、窯口を全て土と石でふさぎます。そうすると窯の中のウバメガシはぶすぶすと蒸し焼きにされるのです。これが「炭化」です。簡単にいうと「原木に含まれる水分をさらに抜く」ということになります。
 窯口のメアナを開け閉めすることで空気の量を調節し、炭化を常に最適の状態にします。それも全て、煙の色と匂いで判断するのです。

 

■精錬(ねらし)

 炭化が終ると、窯口を徐々に広げ、空気を送り込みます。すると真っ暗な窯の中の原木は、少しずつ燃え炎を上げはじめます。
ここではじめて原木に火が着きます。この時、原木の堆積は約3分の1位に減っています。 そしてさらに窯口を広ろげると、一気に炎が上がり、原木は真っ赤に燃え始めます.
 そして、ねらしの最終段階、窯口を全開にします。炎はいっそう勢いを増し、窯内の温度は1000度以上に達します。炭焼き師は真っ赤に燃えている炭の微妙な赤色の変化を見て作業を進めます。 

備長炭(白炭)を焼くときの最大の特徴は、この精錬(ねらし)と呼ばれる一連の作業です。窯の中で6・7部通り炭化した炭を、このねらしによってさらに炭化させるのです。また、ねらしには木炭に残っている樹皮を剥す目的もあります。

■窯出し・消火

 ねらしのタイミングを見て、いよいよ窯出し。空気にふれてねらしの終えた手前の炭から少しずつ、「エブリ」と呼ばれる道具で、真っ赤になった炭をかき出します。奥の方の炭はまだねらしが充分ではないので、中の様子を見ながらの作業です。
 かき出された真っ赤な炭は、さらに少しの間燃やしてねらした後、「消し粉(けしこ)」をかけて火を消し、冷まします。このとき真っ赤になった炭をすっぽりおおうように、消し粉をかけます。空気に触れていると炭は、燃え尽き灰になってしまうからです。

※「消し粉」とは、灰と土を水で湿らせたもの「素灰(すばい)」とも言います。

丸1日以上かけて冷まし、消し粉のなかからほりだされます。それでもまだ熱いのですが、空気にふれるとようやく冷めます。

備長炭が白炭とも呼ばれるのは、この消し粉から取り出された炭が、灰をかぶって真っ白になっているからなのです。

備長炭はこのようにしてできるというわけです。

 

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